Lingerie~after story~
「それ、新しいデザイン?」
「そ、どうどう?大人可愛いく、でもやっぱりセクシーみたいな」
「うん、……良いんじゃない?絶妙な具合で。男性的に媚びたセクシーさでもないし、女子ウケばっかの可愛さでもないし。……レースも綺麗」
「でしょう」
いや、本当。
イズミのデザインもやっぱり九条くんに負けず劣らず素敵な物ばかりなのだ。
今も新作だと見せられたサンプルを手に、実に私好みのデザインだなぁなんて惚れ惚れしていれば。
「………ここだけの話、………あんたイメージのデザインだから」
「っ……!?」
今の今までにこやかでオープンに仕事としての感想であったのに、不意に耳元に寄った唇がとんでもない裏情報をこっそり直に吹き込んでくるからドキリとしてしまった。
しかも、動揺した私などお見通しに、
「だから、どう?今度これ着けて私とお泊りしない?なんならこれ、あんたと私だけの特別デザインに切り替えてあげちゃうけど?……寧々、」
「っ~~~そ、そういうの間に合って__」
「仕事しろよカマ野郎っ」
「「っ!!」」
殺意交じりの声音が先か……それとも、私とイズミの間に割って入った蹴りが先か。
その蹴りの被害にあった壁がドンっと大きな音を立てて、当然周りも何事かと視線をこちらに注目させるも、
「……見てないで仕事しろよ、無能」
そんな、鬼人の一言でそそくさと集まった視線は分散するのだから凄いものだ。
いや、全然笑えないけどね。
この怒り絶対に私にも向いてるから。
だからこそ、下手な言葉を言い訳にも出来ず、鬼人様の出方を待って硬直していれば、
「仕事中に人の嫁口説いてるんじゃねぇよ」
「あら、地獄耳だこと。それに嫁だとか図々しい。まだ戸籍上ミモリは水守だった筈よね?」
「婚約者である事は代わりねぇんだよ。一般庶民が割り込んでくんな」
「馬鹿ね、婚約者の女は庶民の男と駆け落ちするって相場は決まってるのよ」
「ってか、なにこいつのナンパ間に受けて、まんざらでもなく頬赤らめてんだよ寧~々ぇ?」
あああっ、やっぱり私にもお怒りだった。