Lingerie~after story~



彼の癖。

いや、全て巧みな依存と言う名の罠なのかもしれないけれど、彼は時折こうして耳元に直に言葉を吹き込んでくる。

その都度唇の熱を押し当てて、肌にも音の響きを刻んで私の熱を上げにくるのだ。

それが寂しがりな私の性分には変に依存性が高くて。

だって、近くにいる。

確かに触れている感触や自分に向けられている言葉を感じる。

愛情を感じる。

今だって無意識によぎった私の不安を感じたかの様に、確かなる熱と音を私に刻んで存在を証明してくれたわけだ。

得るのはひたすらな安堵。

それでも安堵を覚えてしまう事もこの瞬間は厄介なもので、ああ、ほら……、安心を覚えた意識が意に反して無意識の水中に沈み始める。

待って、まだ足りない。

もっと、もっと……、

「………おやすみ、ミモリさん」

ああ、酷い。

その一言は呪いの様に私に安堵を与えて意識を奪う。

そんな優しい声音で眠りを促されたら逆らえない。

心は今も抗ってもがいているのに……、



『触らせて……』



この刹那の様な一瞬では物足りぬと体が軋む。



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