Lingerie~after story~
彼の腕に抱かれ見つめられ素直に自分自身を求められていると実感した刹那だ。
『両想いなのか』と沸いた心は沸きすぎて溢れて収取がつかなくなったらしい。
歓喜を飛び越えて……なんか恥ずかしくなった。
えっ?この人に好かれてるの?!
と、言うか、この人に本気で求められてるの?!
体のラインじゃなくて今度は本当の意味で色々と!?
一瞬にしてそんな焦りと羞恥の大爆発。
そんな私の心中を煽るように、もう抑制は無効だろうと行動を起こした彼に咄嗟に待ったをかけて現状のキープを訴えてしまったのだ。
そりゃもう……その後の彼の不機嫌な事。
普段から無表情で口数少ない彼だけどもそれに拍車をかけてだんまり決め込むわ、眉間に皺寄せるわ、重苦しい溜め息つくわ。
その都度『すみません』と心で謝罪しながらのここまでの時間。
気まずさ全開のまま帰路について、とりあえず生活を共にしている自分のマンションへと身を投じた。
薄暗い玄関に入り込み背後で扉が閉まった瞬間には、本当にこれからどうしたらいいのかと靴を脱ぐのも忘れて不動になりかけた程。
かといって本当に何分も固まったとかいうわけではなく、そうなりそうだという予兆の数秒。
その数秒後に後頭部をクシャリと撫でてきた手の感触に不安を取り払われた気がした。