Lingerie~after story~



なんて愚かなのか。

直前まであれだけの罵声を響かせ彼を詰っていた癖に、開かれた腕に誘われるまま、引き寄せられるままふらりと距離を詰めて腕の中に収まってしまった。

でも……せめてもの強がり…、

「怒ってるんだから……」

「うん、俺に怒れるのはミモリさんぐらい」

「っ……いつもの…九条くんの熱じゃない。…熱い、」

「俺も熱い、」

「じゃあ……大人しく寝ててよ。これ以上……心配させないで」

「どうしようかな。心配して取り乱してくれるミモリさんもなかなか可愛くて」

この悪趣味男め。

本当にそういう楽しみ方止めてくれないかな?と埋めていた顔を上げ睨むように視線を絡める。

ああ、なんかいつもと逆。

普段はその目元が隠され表情を明確にするのは口元であるのだ。

なのに今目の前にいる彼は、さすがに前髪をピンで留めあげていて、口元は先程渡したマスクで覆われている。

でも、表情は笑ってる。

目元で分かる。

でも…熱っぽい潤んだ双眸。

さすがに意識はいつも通りでも身体は正直に体調不良を示している。

それを目の当たりにすれば、

「……本当に、大人しく寝てて?何か食べれそうなもの作ってくるから」

憤り解消のいたわりの一言だ。

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