Lingerie~after story~
いつもみたいな余裕はない癖に。
今だって見下ろして優位であるのは私の方である筈なのに。
何で……九条くんに見つめられるときは見下ろされているような感覚に陥るのか。
慰め絆され宥められ。
いつだって上から甘やかされているような感覚に陥る。
怒ってるのよ?
本当に怒ってるの。
「私怒ってるんだからね!?」
「うん、」
「私には気を許してるように見せておいて肝心なところで頼ってくれないとか酷い!」
「うん、」
「私を気遣ってなのかもしれないけど、何にも説明なしに距離を置かれたら不安になるに決まってる!!」
「ゴメン、」
「っ~~、だから、その全部分かってるから的笑顔ムカつく!!風邪予防ならマスクするとかいろいろあるでしょうが!!何極端に避けてくれてるのよ!」
馬鹿っ、と言う様に今度は使い捨てマスクの箱を投げつける。
今度は当たるように投げたのに、さすがに素直にぶつかってはくれず、何てことなしにキャッチしてみせると早速開封し装着しながらクスクスと笑ってくる始末。
そんな反応にもムッカァ!!とこちらの熱も上がるのに、
「……ミモリさん不足。……来て」
そんな風に甘えるような言葉を弾き、両手を広げてくる姿に『誰が行くか!』と強がれたのは心の中だけ。