Lingerie~after story~




とにかくおふざけ抜きに体を休めてほしいと発した一言で、そのままスッと身を離すとゆっくりベッドから立ち上がってリビングへ向かおうかと思ったのに。

「うん、わかったよ。…とりあえず…この描きかけのデザイン仕上げたら大人しく寝るから」

………ああん?

ちょっと待て……描きかけ?仕上げる?

お前、……人の労わりを蔑ろするのも大概にしろよ!?

せっかくさっきまでの憤りを収めた時間であったというのに、ここにきて再びスケッチブックに手を伸ばす彼の行動にはプツリと何かが切れたと思う。

しかも、なにその、さも『譲歩してこれだけ』と言わんばかりの感じ。

っ……だーかーらぁぁぁぁ

「病人は大人しく寝てろって言ってるでしょうがぁ!!!」

そう叫ぶのと彼に手が伸びたのはほぼ同時。

スケッチブックを拾い上げたところであった彼に奇襲をかける様に詰め寄りベッドに強引に押し倒すと、憤りで爆発した思考のまま…、

「っ!?ミモ……んっ___」

「っ_____」

なんて……変な感触……感覚か。

唇にマスクの繊維が細かく絡む。

吐き出される息が薄い布越しに感じるのに、直に触れるより熱く感じる。

変な感じ。

でも……柔らかい。

九条くんの唇は……柔らかい。

それだけは……分かった。

………っ…分かりすぎる……。

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