Lingerie~after story~
「はっ?夕飯?」
「うん……たまには一緒に外で食べない?」
そんな提案をしたのは夜が明けての朝食時。
淹れたてのコーヒーを口に運ぶ彼の姿を眺めながら、さも今思いついたかのようにその誘いの一言を発したのだ。
それでもどこか驚愕交じりの反応で振り返り見つめてくる彼の双眸にはどうにも落ち着かなくなり、慌てて補足の言い訳として、
「ほら、私達って始まりがあんなでまともに当たり前の交流ないまま一緒に暮らしてるじゃない」
「まあ、そうだけど。なんか意外」
「へっ?何が?」
「いや、ミモリさんも俺と一緒で家が一番タイプで出不精かと思ってたから」
「そっ…んなこと…ないとは……言いにくいけど」
「だよね」
「っ…で、でも……私だってたまにお酒のみに行ったりしてるのよ?ホテルのバーラウンジとか静かで飲みやすいし、イタリアンとか大好きで、よくイズミといい店見つけては飲みに行ったりしてたのよ」
「………ねえ、」
「えっ?」
「朝から何俺の事刺激して煽ってるの?」
目……目が恐いです。
目が鋭いのに弧を描いてる口元はもっと恐い。
私としてはどこまでも自分のらしからぬ誘いを肯定しようとしての説明であったのに、無意識に引き出した存在の名前が見事彼の不愉快を刺激したらしい。