記憶の中の君は甘かった。
二週間後の放課後、お見舞いに行くと、碧の目はぱっちりと開いていた。


私の目からは、嬉しさや驚きからか、涙がこぼれ落ちていた。


「碧っ!!」


思わず私が抱きしめると、碧の体がピクっと小さくはねたのがわかった。


「よかった。よかった。よかった...」


私がそう言いながら抱きしめ続けていると、小さな囁き声が聞こえた。


「...誰?」


「...え?碧?」


それは紛れもなく碧の声だった。


「碧、私だよ?藍だよ!覚えてないの?」


私がそう言うと、碧は小さな声で


「...はい。すみません。」


と答えた。
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