愛人契約
「ところで?なぜ君みたいな人が、愛人契約を?」

「はい。弟の大学進学の費用に充てたくて。」

「へえ。」

すると矢部さんは、辺りをキョロキョロと見回し始めた。

「あのさぁ。」

「はい?」

矢部さんは、私の近くに寄ると、こう呟いた。


「本当は、もっと割のいい方がいいんじゃないの?」

「えっ?」

矢部さんを見ると、イヤらしい顔をしている。

「や、矢部さん?」

私が少し離れると、矢部さんは途端に、太ももをさすりつけてきた。


「一目で気に入っちゃったんだよね。君とだったら、一晩5万は出すよ。」

「ちょっと!話が違います!」

私は矢部さんを、引き離そうとしたけれど、無理だった。
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