愛人契約
「ああ、イクよ。」

「あっ、あっ、あっ!あああん!」

そして二人で、ソファに倒れ込んだ。

茫然とする私に対して、本田さんは直ぐに立ち上がると、洋服を着だした。


私達は恋人ではないのだから、情事が終われば余韻に浸る事もない。

分かっているけれど、なんだか寂しい。

そして本田さんは、起き上がった私の前に、お札の束を置いた。

「約束の30万だ。これで弟さんも、手術を受けられるだろう。」

「ありがとう……ございます。」

私はその30万をバッグの中にあった封筒に入れ、洋服を着た。


「次の機会は、電話で指示する。」

「……はい。」

そう。

私は、この男と愛人契約を結んだ。

この男に求められたら、抱かれる。

そんな契約を。
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