愛人契約
私は慌ててスマートフォンを、バッグから取り出した。

何件もの弟からの着信。

「先生、ご連絡有難うございました。私から電話してみます。」

『ええ。お願いします。』

私は急いでオフィスを出て、泰介に電話をした。

けれど、何度電話しても、泰介は出ない。


このまま放っておけない。

私の中で、何かがそう伝えた。

私はオフィスに戻ると、部長に一度帰宅させてくれるよう、頼んだ。

部長は、私と弟二人暮らしって言う事を知っているから、あっさり許可を出してくれた。


こうして会社を出た私は、タクシーで家に帰った。

「泰介!泰介、いる?」

家の玄関を開け、リビングを覗いて驚いた。

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