愛人契約
「姉ちゃん。」

「なあに?」

泰介は、思いつめた顔で、こちらを向いた。

「……昨日の夜、何かあった?」

「えっ?」

じーっと私を見る泰介に、落ち着かない。


「どうして?」

「今まで思いつめた顔をしていたのに、急に晴れやかな顔になって。昨日、何かあったとしか思えない。」

さすがは姉弟だと思ったけれど、まさか愛人契約の事を言う訳にはいかない。

「何でもないわ。気にし過ぎよ。」

「嘘だよ。」

泰介は、尚も私を見つめる。


「急にお金ができたなんて、信じられない。昨日の夜、何かあったんだ。」

ギクッとなったけれど、知られたくない。

体を売って、お金を調達してきたなんて。
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