愛人契約
「まさか姉ちゃん……」

「な、なに?」

「……闇金から、金を借りたりしてないよな。」

一瞬、頭が真っ白になって、その後笑いが込み上げてきた。


「なに、笑ってるんだよ。」

「だって、泰介が変な事言うから。」

私は軽くため息をついた。

闇金に行ったのは、本当の事だから。

「なんか、泰介には敵わないわね。」

「やっぱり、姉ちゃん。」

泰介は青い顔をして、布団から出ようとした。

「と言っても、調達してきた場所は、闇金じゃないけどね。」

「えっ?」

「ボーナスよ。」

泰介に嘘をつくのは嫌だけど、このくらいの嘘は大目に見てほしい。


「何言ってんだよ、姉ちゃんの会社、ボーナスなんて出る訳ないだろう。」

「失礼ね。今回は業績がアップして出る事になったの。」
< 52 / 123 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop