愛人契約
「で?契約の方はどうなの?」

「えっ?」

「嫌ね。愛人契約よ。」

三宅先輩は、気を遣って小声で言ってくれた。

「ああ……順調と言えば、順調です。」

「そう。ならよかった。」

パスタをすする先輩は、全く気にもしていなかった。


「……先輩も、愛人契約した事があるんですか?」

すると、一瞬だけ先輩は手を止めた。

「……少しの間だけね。」

「そうですか。」

私も、さらりと返した。


「どんな人だったんですか?」

「年寄りの社長よ。羽振りだけはよかったわ。」

「結構貰ってたんですか?」

「一時期はね。でも直ぐ倒産しちゃって。それで契約も終わり。」

愛人契約と言うのは、お金が用意できないと、破綻するらしい。
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