愛人契約
そして、出された診断は、言葉を失うモノだった。

「弟さんの脳には、脳腫瘍があります。直ぐに手術をしないと、命にもかかわります。」

「脳腫瘍?」

見せられたレントゲンには、頭に大きな白いモノが映っていた。

「どうして……何で……」

昨日まで何もなかったのに。

「今までも、頭が痛いと仰っていた事は、ありませんでしたか?」

「いいえ。あの子、何も言わなくて。」

もしそうだとしたら、何で言ってくれなかったのだろう。

私が頼りない姉だから?

どうして、どうして……

「お姉さん。そんなにご自分を責めないで。手術の同意、してくれますね。」

「はい。」


どんなにお金がかかってもいい。

たった一人の弟を助けて。

私は、神様に祈った。
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