愛人契約
「あっ、いえ……」

どうしよう。

先輩の事誘っておいて、行けませんなんて言えない。

でも先輩は、何もかも分かってくれていた。

「もしかして、お迎え?」

私は、顔を上げた。

「何よ。そうだったらそうって、言いなさいよ。」

そう言って先輩は、『じゃあね。』と言って、去って行ってしまった。

本当に。

先輩は、変なところまで、気が利く。


私は先輩の姿が見えなくなると、ゆっくりと車に近づいて行った。

窓が下がって、勇介さんが顔をのぞかせた。

「ごめん。邪魔するつもりはなかったんだ。」

「いえ。気にしないで下さい。」

私は、その車に乗った。

乗ったと言う事は、今日も一緒にいていいのだろうか。
< 89 / 123 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop