愛人契約
そんな事を考えていたら、ふいに勇介さんにキスをされた。


「今日も、いいだろうか。」

どうやら、考えている事は私達一緒みたいだ。

「はい。」

窓が上がり、車が走り出すと、私達は運転手さんがいるにも関わらず、ずっとキスを重ねていた。


先輩が言っていたように、この契約がどうなるか分からない。

もしかしたら。

もしかしたら……

「何考えてるの?」

目の前で、勇介さんが私を見つめている。

「何も考えないで、俺だけを見ていて。」

好きな人にそんな事を言われて、期待しない女なんて、いるんだろうか。


私にはできない。

好きな分だけ期待してしまう。

勇介さんも、少しは私に気があるんじゃないかって。

この恋が、少しでも長く、続くんじゃないかって。


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