イケメン部 〜第3巻〜
壱の章

其ノ壱

夏も終わりに近づきーーー




「蜩の声も趣があっていいな」


「そうですね、しんみりしてる…」



伝統部の部室では、御影誠と桐神時雨がパイプ椅子に座り、和菓子を食べていた。



「それにしても、これどこの菓子だ?」



桜色の餡に包まれた和菓子を2口ほど食べ、御影は桐神を見遣る。

桐神は、緑色の餡に包まれた和菓子をちょびちょびと食べながら、



「家の近くの和菓子屋さんです。…もし良ければ、今度一緒に行きますか?」



やんわりとした笑みを浮かべた。



「……行きたい」



< 1 / 69 >

この作品をシェア

pagetop