【バレンタイン特別短編】棚の上の恋
そしてあの日からちょうど1ヶ月過ぎた今日。
私は今日もあの香りの持ち主を探す。
今日は運良く土曜日だから、私は1日この図書館で大好きな本を読みながら、あの人を探すことにした。
空はあの日と同じように青く澄んでいて、時々現れる可愛らしい雲を見ながら本を読む。
ふと、私の前の席に誰かが座ったのが視界の端に入った。
空からその人物のほうへ視線を移すと、そこにはふわりと笑う男の人がいた。
その人の優しい笑顔に心臓が大きく飛び跳ねた。
なんだか恥ずかしくなって急いで目を反らす。
それでも心臓が止まらない。
私は逃げるようにして席を立ち、本を探しに行った。