【バレンタイン特別短編】棚の上の恋




そしてあの日からちょうど1ヶ月過ぎた今日。


私は今日もあの香りの持ち主を探す。


今日は運良く土曜日だから、私は1日この図書館で大好きな本を読みながら、あの人を探すことにした。


空はあの日と同じように青く澄んでいて、時々現れる可愛らしい雲を見ながら本を読む。








ふと、私の前の席に誰かが座ったのが視界の端に入った。


空からその人物のほうへ視線を移すと、そこにはふわりと笑う男の人がいた。


その人の優しい笑顔に心臓が大きく飛び跳ねた。


なんだか恥ずかしくなって急いで目を反らす。


それでも心臓が止まらない。


私は逃げるようにして席を立ち、本を探しに行った。







< 5 / 12 >

この作品をシェア

pagetop