Dream 『気づけば、恋してたよ』
机から私が広げたままの参考書などが一瞬で消えた。
祐希治は言った、散歩しようと。
気分転換はしなきゃ、と。
差し出された手を見て、戸惑いながら繋いだ。
私、何してんの……
一分一秒が大事なのに、なんでのんきに散歩なんかしてんの?
それに、祐希治って何者?
パチン! と祐希治が鳴らした指音。
目の前の道路が、辺りの景色が変わった。
そして私の前に現れた大鳥居。
『 君を連れて行きたかったんだ、行こ!』
「 え、ちょっと… 」
タタッと走り出す祐希治はまた指を鳴らした。
雪の結晶が桜の花弁に変わり舞だした。
わぁ…… すごい、綺麗っ
『 この景色は君のだよ 』
私の?
私に向き直って祐希治は言った。
なぜ私のためのか、わからない。
でも、祐希治はニッコリ笑っていた。