Dream 『気づけば、恋してたよ』
祐希治は私を砂浜に降ろし、差し出した。
その手のひらにはピンクの貝殻。
まさにあり得ないほど恥ずかしさを感じるのに、嬉しいと思ってる。
そしてまた、いきなり風景が変わった。
銀杏舞い、紅葉が彩る。
『 歩こうか 』
歩いて、気分がだいぶ落ち着くのに私の鼓動だけはずっと早い。
それは祐希治のせい。
『 時間はあるようで限られてるから、苦しいと思うんだ、でも、その時間とどう向き合うかで変わる 』
確かに……
私の時間、必死に止まれと思いながら向き直ってた。
何度もやり直し出来ないかと思う。
だから、必死すぎて疲れてしまう。
『 大丈夫だよ、君のそばにいるから 』
「 ……どうして?」
聞くと、ふわりと優しく抱きしめてきた祐希治。
内心戸惑い、焦った。
『 何も考えないで、俺を見なよ。今 俺がいるでしょ 』
そうだね、だって私…
あんたにドキドキしてるんだから。
バカだよね、どこの誰かすら知らない奴にドキドキなんて……
きっと祐希治って名前も偽名でしょ。
でもいいよ……
『 さ、行こうか 』
また、いつの間にか雪が舞い散る大鳥居があった。
『 この先にある神様に会いに行こ 』
神様?
半信半疑のまま歩いて行くと、そこには立派な社があった。
『 君の願いはきっと、叶う 』
私の願い…… 知らないくせに。
『 約束するよ、君に。だから会えたら俺を呼んで…… 祐希治って呼んで 』
「 え… ねぇ ちょっと待って、会えたらっていつ、どこで?」
『 ほら見て、花弁が喜んでる。大丈夫、君は大丈夫だから自分を信じて 』
何…わかんないよ!
待って、どこ行くの?
ねぇ、行かないでよっ……