血まみれ椿姫
☆☆☆

教室を出た俺は近くのトイレに行き、用を足してから教室とは逆方向へ歩き出した。


しばらく2人きりにする予定だ。


特に目的もなく、ブラブラと校内を歩く。


外は天気がよくてすごく気持ちよさそうだ。


中庭にでも出てみようか。


そんな事を思ったとき、3年生の教室にさしかかり自然と歩調がゆっくりになった。


3年生の廊下には人がチラホラしか見られず、すごく静かだ。


開け放たれているドアからチラッと教室内を覗き込むと、3,4人の生徒しかいなくて、クラスを確認してみるとそこは三宅先輩と冨部先輩がいたクラスだとわかった。


そういえば2人が亡くなってから保健室登校をする先輩が増えたって噂で聞いたっけ。


俺はクラスメートの女子たちが話していたことを思い出した。


あんな事が立て続けにあったら、精神的にまいってしまっても仕方がない。


同じクラスだったらなお更だ。


ガラガラの教室内で窓辺に座っている女子生徒を見つけた。


ただ座って文庫本を読んでいるだけなのに、やけに絵になる。


不覚ながらその姿を見た瞬間、ドキッとしてしまった。
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