血まみれ椿姫
結局この日は風花の家で夕飯をごちそうになることになった。


できるだけ長い時間一緒にいたいと思っていたから、風花のお母さんから夕飯の誘いがあった時は喜んでOKした。


そして、日が暮れ始めた時、綾菜ちゃんが思いついたようにこう言った。


「ねぇ、みんなで今年最後の花火しない?」


食事を終えて風花の部屋でのんびりしていた俺たちは、その言葉に顔を上げた。


「花火、いいね」


風花がほほ笑む。


花火と聞いて一瞬河川敷での出来事を思い出していた。


城と花火をした後、冨部先輩を見かけたことも……。


「あぁ、俺も別にかまわらないよ」


城のその声にハッと我に返り「もちろん」と、頷いた。


少しだけ胸の奥に嫌な予感が過る。


でも、きっと気にし過ぎなんだと思う。


昼間以降風花が『声が聞こえる』と訴えてくることもないし、家の庭で花火をするくらい大丈夫だろう。
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