血まみれ椿姫
それに、風花の両親がすぐに俺の事を庇ってくれたのだ。


俺は昔からの親友で娘を殺すようなことはしないと。


混乱した状況の中でそうやって俺を庇ってくれたことを思い出し、ジワリと涙が浮かんできた。


こんなに早く警察から解放されたのは、風花の両親のおかげだ。


俺は目尻にたまった涙を手の甲で拭った。


その時、ちょうどタクシーが大きな病院の前で止まった。


俺は運転手にお金を支払い、タクシーを下りた。


あれから城には合っていない。


俺でさえ記憶が飛んでしまうくらいショックを受けたのだ、城がどれだけ辛い思いをしているかわからない。


沢山の患者たちが並んでいる受付で部屋番号を聞いた俺は、入って右手にあるエレベーターに乗った。


エレベーターの中には松葉づえを付いた老人が1人乗っているだけだった。


受付で聞いた階まで行きエレベーターを下りると、突然人の叫び声が聞こえてきて俺は立ち止まった。
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