血まみれ椿姫
パニック
広い1人部屋のドアの向こうにいたのは椅子に座った城だった。


大きな体を小さく丸め、椅子に両足を乗せて体育座りのような体制になっている。


俺が部屋に入ってきたことにも気が付かないのか、城の視線はせわしなく病室の中を見回していた。


「城、大丈夫か?」


俺がそう声をかけても、城は返事をしなかった。


「おい、城?」


近づき、その肩に手をかける。


するとようやく城の視線が俺を捕らえた。


「城、俺だ。わかるか?」


城の目の下は真っ黒なクマができていて、唇はカサカサに乾いてひび割れている。


たった2日前までの城は見る影もない。


「なぁ、辛いかもしれないけれど、今回の事は俺とお前しか知らないんだ。風花と綾菜ちゃんを殺した犯人を見つけたい」


なるべく感情的にならないよう、ゆっくりとそう言う。


すると、城がようやく口を開いた。
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