血まみれ椿姫
発狂
クラスメート全員が参列した葬儀はしめやかに行われた。


静かな会場内にお経が響き、1人1人が焼香を上げていく。


祭壇に飾られている風花と綾菜ちゃんの遺影はとても綺麗で、こうして見ても美人姉妹だったと思った。


特にもの言わぬ遺影は儚く見えて、散っていく花を連想させた。


焼香の順番が来て俺は席を立った。


ゆっくりと祭壇へ近づき、風花の写真を見つめる。


結局、俺も城も思いを伝えることはできなかったけど、君の事が大好きだったよ。


心の中でそう思い、目を閉じる。


もし時間が戻せるなら、俺は迷わず風花に告白していただろう。


返事がダメでも、城と付き合う結果になっても、必ず思いを伝えただろう。


こんなにも早く風花がこの世を去ってしまうなんて考えてもいなかった。


だから、自分の気持ちよりも親友の気持ちを優先し、背中を押していた。


バカか、俺は。


人間は必ず死ぬ。


死ぬとわかって生きている。


なのにどうして後悔するような事をするんだろう。
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