血まみれ椿姫
突然城が叫び始めたのだ。


「俺はこの目で見たんだ! 2人は自殺なんかじゃない! 殺されたんだ!!」


静かだった会場内がざわめきたつ。


咄嗟に俺は城の元へと走っていた。


「チェンソーを持った幼女が、2人の首をはねたんだ!!」


「やめろ、城!!」


俺は城の体を抱きしめるようにして羽交い絞めにする。


「見たんだ! 俺は確かに見たんだ!!」


あぁ。


俺だって見た。


2人の血だって浴びた。


でも、それはここじゃ通用しないんだ。


必死で訴えても誰も信用してくれないんだ。


俺はギリッと奥歯をかみしめた。


騒ぎを聞きつけた関係者が城を止めに入る。


「離せよ!!」


暴れる城は男3人によって押さえつけられ、抵抗を失ってしまった。
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