血まみれ椿姫

職員室で声をかけた時から俺は違和感を覚えていたんだ。


いくら生徒相手といってもあまりにも単に個人情報を教えようとしているし、何も説明していないのに『何か関係あるのか？』という質問をしてくるのはおかしい。


「先生は、風花や先輩たちが死んだのをどう思いますか？」


俺は先生の質問には答えず、単刀直入にそう訊ねた。


先生の手が止まり、その目が俺を捕らえる。


「とても残念に思うよ」


それは教師としての模範解答で、俺は肩を落とした。


「先生は何か知らないんですか？」


「何も知らない。ただ、ここに長く住んでいたから、この街の事はよく知っているよ」


先生はそう言いながら、名簿へと視線を戻した。


「《椿森》の事も？」


「……もちろん」