血まみれ椿姫
祠の扉に張り付けられているお札も、破れたり落ちたりしていない。


「ねぇ、これからどうするのよ」


「……わからない」


「古くなった祠を新しくしてみる?」


「そんな時間ないよ」


俺は先輩の言葉に左右に首を振った。


「なぁ、城この祠以外に何か聞いた話はないのか?」


「椿森についてなら、それしか知らない。あとは椿には美しい妖精が宿るとか、なんとか」


そう言いながら城は頭を抱えてうずくまった。


「どうした?」


「声が……」


城が苦しげにそう呻いた時、あの音が聞こえてきたのだ。


チェンソーの機械音。

< 200 / 228 >

この作品をシェア

pagetop