血まみれ椿姫
☆☆☆

数か月後。


結局、城の事件も自殺と言う事で断定されてしまった。


いくら違うと言っても聞き入れてもらえることはないとわかっていたから、俺たちは口裏を合わせて自分で自分の首を切断したと説明したのだ。


おかげで、世間では若者による異質な自殺が流行していると思われ、それに関連するニュースが瞬く間に広がって行った。


時には感化され、本当にチェンソーで自分の首を切って死ぬ者まで現れた。


その事件を耳にするたび、俺はテレビのチャンネルを変えた。


あの時の刑事さんから聞いた話だと、三宅先輩と冨部先輩が死んだ時の映像には確かにタヌキらしき動物の姿が写っていたとのことだった。


「行ってきまぁす」


俺はリビングにいる母親へ声をかけて、外へ出た。


11月になり、寒さは急に増してきた。


冷たい風を避けるように首をすぼめて学校まで歩く。


以前なら城や風花と合流していたけれど、今は1人だ。


学校までの長い道のりを歩いて行くと、校門の前にバスが3台止まっているのが見えた。


一瞬、風花の葬儀の様子が脳裏をかすめた。

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