血まみれ椿姫
しかしバスの中から楽しそうな笑い声と、沢山の荷物を持った先輩たちが下りてきて、お俺はホッと胸をなで下ろした。


今日は修学旅行から戻って来る日だっけ。


俺はそう思い、スマホで日にちを確認した。


9月頃にあれだけの生徒が死んだため、今年の修学旅行や文化祭はどうなることかと思っていたが、例年通り行われることになっていた。


すべての日常が元に戻っている。


それは望ましいことでありながら、どこか悲しい事でもあった。


みんなあの事件を忘れているわけではない。


だけど、真相を知るものはほとんどいない。


俺は校門の前で立ちどまり、その人がバスから降りてくるのを待った。


しばらく待っていると、重そうな旅行かばんを肩に下げた古家先輩が下りてきた。

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