血まみれ椿姫
古家先輩は大きく煙を吸い込み、そして空へ向けて吐き出した。


アイドルでもタバコって吸うんだ。


驚きのあまりそんな事を考える。


いや、そもそも年齢的にNGだ。


本物のアイドルなら破門だ。


って、そんな事どうでもよくって!!


グラリ。


突然俺の体が前方へ揺れた。


背中に感じた城の手の感触に俺は驚いて振り返る。


城はギュッと目をつむり、両手で俺の背中を押した格好で止まっていた。


おい、嘘だろ。


よろける体重を支え切ることができず、2歩3歩と前へ出てしまった。


声こそ出さなかったものの、その音に気がついて3人が同時に振り向いた。


3人ともタバコを口にくわえ、眉間にシワを寄せてこちらを睨み付けている。


ように、見えた。


実際は相手も驚いていたと思う。


こんなところに俺がいたなんて、思ってもいなかっただろう。
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