血まみれ椿姫
俺は考えた。


たった0.01秒ほどの間に、何をどうすればいいのかを考えた。


考えた結果……「せ、先輩。タバコはよくないですよ?」震える声でそう言っていたんだ。


キョトンとした顔になる古家先輩に、更のシワを深くする青鬼と赤鬼。


ひぃぃぃぃ!


間違えました!


ごめんなさい!!


ビクビクと体を縮めて震えていると、古家先輩の笑い声が聞こえて来た。


え……?


そっと顔を上げると、体をくの字に曲げておかしそうに笑う先輩。


笑っている顔もすごく可愛くて一瞬見とれてしまう。


「じゃ、じゃぁ俺はこれで……」


城をこの場に放置してそのまま屋上から出て行こうとした時、華奢で柔らかな手が俺の腕を掴んで引き止めた。


振り返ると、古家先輩がほほ笑んでいる。


美少女ナンバー1の先輩に引き止められるなんて光栄なことだけれど、正直今の状況ではあまり嬉しくない。
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