血まみれ椿姫
「確かにそうかもしれないけれど、それなら城が出て行けばよかったじゃないか」


「俺、争いごと嫌いだから」


シレッとそう言う城の頭をひっぱたいてやった。


俺だって争いごとはごめんだ。


特にあんなカラフルな髪色をした先輩たちとやりあう覚悟なんて持ち合わせてはいない。


俺は大きくため息をはきだした。


青鬼と赤鬼の先輩たちもそうだが、やはり古家先輩にやられた事が最も衝撃的だった。


古家先輩があんな恐ろしい鬼たちと仲良くタバコを吸う姿なんて、想像もできなかった。


美少女コンテストで1位を取った時、体育館のステージ上で少し頬を赤らめて微笑んでいる先輩しか、俺は知らない。


その時誰もがこう思っただろう。


守ってあげたいタイプの子だ。


と。


綺麗な顔立ちとは裏腹にその一挙一動は小動物のように可愛くて、受賞コメントをしゃべっている時の先輩は何度も噛んで焦っていた。


それが、あんな本性を持っていたなんて。


俺はまた大きくため息をはきだし、そして自分の口を手の甲で拭った。
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