血まみれ椿姫
「どうした? なにかあったのか?」


「良真、それ本気で言ってる?」


風花の不安そうな表情が一瞬にして驚きの表情に変わる。


「本気だけど?」


そう返事をすると、今度は呆れた表情に変わってため息をはかれた。


目の前で百面相をされた揚句ため息。


なんだかすごく悲しい気分になってくる。


なにも知らないのは俺だけ。


そんな雰囲気だ。


「三宅宏先輩って知ってるでしょ?」


そう聞かれ俺は大きく頷いた。


知っているも何も、昨日彼の喫煙シーンを見てしまったばかりだ。


「三宅先輩、死体で発見されたらしいの」


声のトーンを低くしてそう言う風花。


「……は?」


俺は思わずそんなまぬけな返事をしてしまった。
< 47 / 228 >

この作品をシェア

pagetop