BLUE SKY~裸足の女神~
第三章 変わらない僕達2
「だから……私、もうあの時には戻れない。でも、蒼。あなたの前では、私、子供の時のままで……汚れを知らないままでいたいの」
そう言う星羅の瞳はじんわり潤み、悲しげに輝いた。
「なんて……私、我儘よね。ごめんなさい」
「そんなことない」
僕の口から自然にその言葉が飛び出した。
「僕にとっては、星羅はずっと星羅のまま……そりゃあ、小さい時より今の方が大人っぽくて、凄く綺麗になったけど。でも、何も変わらない」
潤み輝く彼女の瞳に僕の真剣な眼差しが映った。
「星羅は汚れてなんかない。ずっと、ずっと、純粋で……綺麗だ」
輝く瞳から涙が一筋溢れた。
「ありがとう……蒼。昔から……今も変わらず、優しいのね」
そして、美しい瞳は夕焼けに染まる空を見上げた。
「私、蒼を好きになっていれば良かった。だったら、きっと……こんな想いをせずに、傷つかずに済んだのにね」
その言葉が僕の瞳の奥を熱くした。
(だったら……僕のことを好きになってよ)
そんな想いがくすぶって、心の扉をどんどんと叩く。
しかし、そんな言葉が出てしまったら……気の置けない幼馴染として、一緒にセブ島へ旅行に行く。
そんな、今の関係すら壊してしまいそう。
そんな考えが浮かんでしまう。
だから、臆病な僕は……自分の想いを封印し、オレンジ色の夕焼けを映す瞳にそっと尋ねた。
「僕でなく、あいつならそんなに傷つくってことは……やっぱり、あいつのことが好きだったんだ?」
すると、オレンジ色に輝く瞳はそっと僕の方を向いた。
その瞳は、僕の真剣な眼差しと暫し繋がる。
そして、悪戯そうにすっと横長になった。
「何よ、それ。もっと、何かこう、『ああ。俺なら絶対に星羅を傷つけない』とか、格好いい台詞、言えないわけ?」
すっかり元の口調に戻った彼女に、僕はホッと胸を撫で下ろした。
「そんなことを言って欲しかったの?」
「別に。そういう訳じゃないけどね」
星羅はいつもの悪戯な瞳を、夕陽の映る海に戻した。
彼女のその横顔が哀しいほど綺麗で、僕の視線は吸い込まれる。
「もう……夕陽も沈むよ」
「うん……」
僕は、夕陽に映える女神に見惚れながら頷いた。
「沈む前に、泳ぐよ」
裸足の彼女は長い夕陽の影を作りながら、海岸の砂浜に打ち寄せる波に一歩ずつ足をつける。
そんな彼女の後ろ姿を見て思い出す。
僕達は、幼い頃からいつも夕陽が沈むまで海ではしゃぎながら遊んで、帰りが遅いと怒られて。
思い出すと、無性に海に入りたくなった。
木陰で水着に着替えた僕は、人魚のようにスイスイと泳ぐ星羅の横で自分のカナヅチぶりを披露する。
星羅は、そんな僕を見てキャッキャと笑った。
幼い頃から変わらない僕達は、夕陽が沈むまで、まるで昔に戻ったかのようにキラキラとはしゃぎ合ったのだった。
そう言う星羅の瞳はじんわり潤み、悲しげに輝いた。
「なんて……私、我儘よね。ごめんなさい」
「そんなことない」
僕の口から自然にその言葉が飛び出した。
「僕にとっては、星羅はずっと星羅のまま……そりゃあ、小さい時より今の方が大人っぽくて、凄く綺麗になったけど。でも、何も変わらない」
潤み輝く彼女の瞳に僕の真剣な眼差しが映った。
「星羅は汚れてなんかない。ずっと、ずっと、純粋で……綺麗だ」
輝く瞳から涙が一筋溢れた。
「ありがとう……蒼。昔から……今も変わらず、優しいのね」
そして、美しい瞳は夕焼けに染まる空を見上げた。
「私、蒼を好きになっていれば良かった。だったら、きっと……こんな想いをせずに、傷つかずに済んだのにね」
その言葉が僕の瞳の奥を熱くした。
(だったら……僕のことを好きになってよ)
そんな想いがくすぶって、心の扉をどんどんと叩く。
しかし、そんな言葉が出てしまったら……気の置けない幼馴染として、一緒にセブ島へ旅行に行く。
そんな、今の関係すら壊してしまいそう。
そんな考えが浮かんでしまう。
だから、臆病な僕は……自分の想いを封印し、オレンジ色の夕焼けを映す瞳にそっと尋ねた。
「僕でなく、あいつならそんなに傷つくってことは……やっぱり、あいつのことが好きだったんだ?」
すると、オレンジ色に輝く瞳はそっと僕の方を向いた。
その瞳は、僕の真剣な眼差しと暫し繋がる。
そして、悪戯そうにすっと横長になった。
「何よ、それ。もっと、何かこう、『ああ。俺なら絶対に星羅を傷つけない』とか、格好いい台詞、言えないわけ?」
すっかり元の口調に戻った彼女に、僕はホッと胸を撫で下ろした。
「そんなことを言って欲しかったの?」
「別に。そういう訳じゃないけどね」
星羅はいつもの悪戯な瞳を、夕陽の映る海に戻した。
彼女のその横顔が哀しいほど綺麗で、僕の視線は吸い込まれる。
「もう……夕陽も沈むよ」
「うん……」
僕は、夕陽に映える女神に見惚れながら頷いた。
「沈む前に、泳ぐよ」
裸足の彼女は長い夕陽の影を作りながら、海岸の砂浜に打ち寄せる波に一歩ずつ足をつける。
そんな彼女の後ろ姿を見て思い出す。
僕達は、幼い頃からいつも夕陽が沈むまで海ではしゃぎながら遊んで、帰りが遅いと怒られて。
思い出すと、無性に海に入りたくなった。
木陰で水着に着替えた僕は、人魚のようにスイスイと泳ぐ星羅の横で自分のカナヅチぶりを披露する。
星羅は、そんな僕を見てキャッキャと笑った。
幼い頃から変わらない僕達は、夕陽が沈むまで、まるで昔に戻ったかのようにキラキラとはしゃぎ合ったのだった。