ありがとうの花束を
今日 わかった君のことは、
長谷夏向(はせ かなた)って名前で
学年は1つ上の2年生ということだけ。
練習する姿があまりに爽やかで
少し見とれていると、
「マネ見学の、えーっと、誰さん?」
茶髪でチャラそうで、私でもわかるモテそうな人が、
髪をちょっと触りながら話しかけてきた。
「あ、羽月ももっていいます」
「ももちゃんね〜〜」
「あ、俺、秋月裕斗(あきづきゆうと)
ゆう先輩か、裕斗先輩?好きな用に呼んでなっ」
慣れた様子で自己紹介をしてる先輩と違い、
なんとなく抵抗があった下の名前で呼ぶこと。
ちょっと恥ずかしかったけど、
「裕斗先輩、?」
と、首を傾げながら言うと
「うんうん!あ、さっき、夏向のこと見てたでしょ?俺見てたんだよ」
裕斗先輩はニヤニヤしながら
笑っていた
「あ、い、いや、一生懸命な人だなぁって思って」
変な風に思われないように
必死だったから、
ちょっと答え方変だったかな?
いや、うん、でも、一生懸命だったしなぁ
「まぁ、あいつはバスケ大好きだからね〜、俺もだけどさ!でも本当に、好きなんだなぁって見てて、めっちゃ伝わる」
好きな事に熱中出来るのって
素敵だなぁ
私はあんまり熱中することがなかったから
そういう人が羨ましかった。
「こら!秋月!練習中!」
「へいへ〜い」
んもっっ、と西嶋先輩に連れて行かれた。
その日、長谷先輩と話すことはなかった。