秘密の糸Season1㊦
「…何も無いですよ、じゃあ…」 


その時、須藤さんが手首を引っ張った。


「…何ですか?」


「…何で俺を避けるんですか?」


そう言った須藤さんの目は、真剣だった。


その目にウチは引き込まれそうになった。


…本当は、ウチはまだ須藤さんを好き。


けど、好きになったって仕方ないじゃん。

…だって

相手は結婚してるだから


それに好きな人だっている。


「避けてなんか…!」


思わずムキになってしまう。


「最近、武藤さんが俺を避けているのは分かってました…。
けど、俺は…武藤さんとこんな気まずいままなんて嫌なんです。」

ウチだって嫌だ…。


でもこうしないと、ウチは抑えられない。


だから、避ければちょっとずつ消えると思ってた。

本気で人を好きになったからこそ、

ウチは諦めるやり方をしらない…。

その時、須藤さんが車から降りた。
< 114 / 146 >

この作品をシェア

pagetop