秘密の糸Season1㊦
「はあ…はあ…。休憩室から出た後、涙が出ていた事に気づいた。
「やだ…やめてよこんな時に…。」

あたしは誰にも見られないよう、トイレに急いで入った。

「…何やってんだろ。あたし。雪都はそんなふうにあたしを見てないのに。本当に…バカだな…。」

何であたしはあの時、告白なんてしたんだろう…。

あたしの事なんか、眼中にないのは分かってるのに…。

いざ、振られるとやっぱり辛いし悲しい…。

幼なじみの関係だけで十分だったはずなのに…。

最後までうまくやるはずだったのに…。

こうなるのは分かってたのに…。

「あーあ…ライナー落ちてるし…。ウォータプルーフのライナー買わなきゃな…。」

ポロポロ涙が溢れる。


泣いたって雪都は来てくれない。


気づいてくれない。


本当、時間を戻してくれるタイムリープとか、


過去に戻れるタイムマシンがあれば良いのに…。

「そんなのある訳ないよね。」


全部自分のせいだ。


あの時、自分の気持ちに気づいたら、


素直になっていたら、


また違った未来になってたかもしれないのに


全ては全部、自分の不甲斐なさのせいだ。

後からこんなに後悔するなら

もっと早く行動するべきだった。

今のあたしはただ、雪都の弱みにつけこんで

むりやり自分の気持ちを押し付けたようなもんだ…。

最低だ。
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