秘密の糸Season1㊦
第64話蜜と虫
【円花】
ザーザーザー
…あれから何時間経ったんだろう。
私はずっと、何もせずただボーッとしていた。
身体は濡れたまま、ずっと…冷たいままだ。
だけど今はもう、冷たいなんて感情なかった。
ただ、ずっと雨が降り続ければいい…
そうすればきっと全て忘れられる。
そう思った。
…だから何もする気が起きなかった。
スマホを握りしめたまま…
私はずっと立ち尽くしたままだった。
時計を見るともう21時を回っていた。
「…帰らなきゃ。」
だけどどうしても、家に帰る気がなかった。
帰ったらまたきっと…泣いてしまうから…。
その時
ピコン
LINEが鳴った。
画面を見ると、井上さんからだった。
『話…出来たか?』
「井上さん…」
私はスマホをぎゅっと握りしめた。
そして
気づいたら私は、井上さんに甘えていた。
…電話を掛けてた。
プルルル
ピッ
『…はい』
井上さんはすぐに私の電話に出てくれた。
『……』
だけど、その時私はうまく話せなかった。
『…三田倉?どうした…?』
それでも優しく聞いてくれる井上さん。
その声を聞いた瞬間、私の目からは涙が溢れ出た。
『…っく、ひっく…私、ダメ…でした…』
絞るように泣きじゃくる声。
我慢すればするほどまたさっきの光景を思い出し、涙が溢れ出る。
『…え?ちょっと待て、どういう事だ?
…泣いてんのか?』
話したいのにうまく話せない…。
『…ごめんなさい。』
謝るしか出来ない。
『三田倉、今どこにいんだ?』
『…○○町大通りを歩いてます…。』
『分かった、そこで待ってろ。動くなよ』
ツーツー
井上さんはそう言ってから電話を切った。
「…井上さん」
私は切れたスマホをただずっと眺めていた。
「…何やってるんだろう私…。あんな電話されても困るだけだよね…。」
井上さんを困らせた。
きっと井上さんだって呆れたよね?
「…帰ろう。」
帰ろうとしたその時、
タタタ
足音が聞こえ、私の目の前には傘がさされていた。
ザーザーザー
…あれから何時間経ったんだろう。
私はずっと、何もせずただボーッとしていた。
身体は濡れたまま、ずっと…冷たいままだ。
だけど今はもう、冷たいなんて感情なかった。
ただ、ずっと雨が降り続ければいい…
そうすればきっと全て忘れられる。
そう思った。
…だから何もする気が起きなかった。
スマホを握りしめたまま…
私はずっと立ち尽くしたままだった。
時計を見るともう21時を回っていた。
「…帰らなきゃ。」
だけどどうしても、家に帰る気がなかった。
帰ったらまたきっと…泣いてしまうから…。
その時
ピコン
LINEが鳴った。
画面を見ると、井上さんからだった。
『話…出来たか?』
「井上さん…」
私はスマホをぎゅっと握りしめた。
そして
気づいたら私は、井上さんに甘えていた。
…電話を掛けてた。
プルルル
ピッ
『…はい』
井上さんはすぐに私の電話に出てくれた。
『……』
だけど、その時私はうまく話せなかった。
『…三田倉?どうした…?』
それでも優しく聞いてくれる井上さん。
その声を聞いた瞬間、私の目からは涙が溢れ出た。
『…っく、ひっく…私、ダメ…でした…』
絞るように泣きじゃくる声。
我慢すればするほどまたさっきの光景を思い出し、涙が溢れ出る。
『…え?ちょっと待て、どういう事だ?
…泣いてんのか?』
話したいのにうまく話せない…。
『…ごめんなさい。』
謝るしか出来ない。
『三田倉、今どこにいんだ?』
『…○○町大通りを歩いてます…。』
『分かった、そこで待ってろ。動くなよ』
ツーツー
井上さんはそう言ってから電話を切った。
「…井上さん」
私は切れたスマホをただずっと眺めていた。
「…何やってるんだろう私…。あんな電話されても困るだけだよね…。」
井上さんを困らせた。
きっと井上さんだって呆れたよね?
「…帰ろう。」
帰ろうとしたその時、
タタタ
足音が聞こえ、私の目の前には傘がさされていた。