秘密の糸Season1㊦
シャアアア
「…温かい。」
シャワーのお湯が、冷え切った私の心と身体を温めてくれた気がした。
「…井上さんに迷惑かけちゃったな…。
お風呂から上がったら帰ろ…」
しばらくして私は浴室から上がり、着替えをしてリビングに向かった。
「お風呂…ありがとうございました。」
「ちゃんと温まったか?」
「はい…」
「なら、良かった。
ほらココア飲め。温まるから。ここ座れよ。」
「はい…ありがとうございます」
そして私はソファに座り、貰ったココアを一口飲んだ。
「…美味しい」
甘い味が、私の冷え切った心を溶かしてくれた。
…そんな気がした。
「…何があったんだ?」
その時、井上さんが口を開いた。
私はゆっくりさっきの事を話した。
「バイトが終わった後、私早速彼氏に電話をしました。
だけど一向に電話に出てくれなくて…。
貰った合鍵で、彼氏の住んでいるアパートに行ったんです。
そしたら、中で声が聞こえて…。
ドアを開けたら、見たことないヒールが置いてあって…。
リビングに入ったら…
彼氏と…彼氏のお兄さんの奥さんが…」
私はまたあの時の光景を思い出した。
消したくても中々消せないあの光景…。
また、涙が溢れた。
「わりぃ!俺…ごめん…」
私は首を横に振った。
「……」
「……」
しばらくの沈黙の後、井上さんがソファから立ち上がった。
(…井上さん?)
「…三田倉」
「…はい。」
「スマホ貸して」
「え?」
…スマホ?
「こうなったのは俺の責任だ。
…俺が話し合えなんて言ったから…俺が三田倉の彼氏に言ってやる。」
「…ダメです!」
…これ以上は井上さんに迷惑かけられない!
私は井上さんの手を止めた。
「良いんです!」
「…けど!」
「…彼とはもう、終わりましたから」
「三田倉…」
「私、井上さんには感謝してるんです…。
言って下さらなかったから今もきっと、さよならできずに中途半端なままでしたから…。だから気にしないで下さい。」
そうだ…。
井上さんがいなかったら、私は臆病なままだった。
私の背中を押してくれたのは井上さんなんだ。
その時
ザーザーザー
雨がまた降ってきた。
「…温かい。」
シャワーのお湯が、冷え切った私の心と身体を温めてくれた気がした。
「…井上さんに迷惑かけちゃったな…。
お風呂から上がったら帰ろ…」
しばらくして私は浴室から上がり、着替えをしてリビングに向かった。
「お風呂…ありがとうございました。」
「ちゃんと温まったか?」
「はい…」
「なら、良かった。
ほらココア飲め。温まるから。ここ座れよ。」
「はい…ありがとうございます」
そして私はソファに座り、貰ったココアを一口飲んだ。
「…美味しい」
甘い味が、私の冷え切った心を溶かしてくれた。
…そんな気がした。
「…何があったんだ?」
その時、井上さんが口を開いた。
私はゆっくりさっきの事を話した。
「バイトが終わった後、私早速彼氏に電話をしました。
だけど一向に電話に出てくれなくて…。
貰った合鍵で、彼氏の住んでいるアパートに行ったんです。
そしたら、中で声が聞こえて…。
ドアを開けたら、見たことないヒールが置いてあって…。
リビングに入ったら…
彼氏と…彼氏のお兄さんの奥さんが…」
私はまたあの時の光景を思い出した。
消したくても中々消せないあの光景…。
また、涙が溢れた。
「わりぃ!俺…ごめん…」
私は首を横に振った。
「……」
「……」
しばらくの沈黙の後、井上さんがソファから立ち上がった。
(…井上さん?)
「…三田倉」
「…はい。」
「スマホ貸して」
「え?」
…スマホ?
「こうなったのは俺の責任だ。
…俺が話し合えなんて言ったから…俺が三田倉の彼氏に言ってやる。」
「…ダメです!」
…これ以上は井上さんに迷惑かけられない!
私は井上さんの手を止めた。
「良いんです!」
「…けど!」
「…彼とはもう、終わりましたから」
「三田倉…」
「私、井上さんには感謝してるんです…。
言って下さらなかったから今もきっと、さよならできずに中途半端なままでしたから…。だから気にしないで下さい。」
そうだ…。
井上さんがいなかったら、私は臆病なままだった。
私の背中を押してくれたのは井上さんなんだ。
その時
ザーザーザー
雨がまた降ってきた。