秘密の糸Season1㊦
「三田倉…」

「あの雨の日も…あの二人はこんな感じだったんですかね…」

思わず呟いてしまった。

「三田倉…」

…私、何言ってんだろう…。

ここにいちゃダメだ。


「…ごめんなさい。今の忘れて下さい！
私、そろそろ帰りますね！」


ソファから立ち上がったその時、


井上さんが後ろから抱きしめてきた。


…え？


しっかりと腕の感触が分かる。


「…井上さん…？」


「もういいから、ムリすんなよ…。」


「井上さん…。」


「もうムリ、見てらんない…」


強く強く伝わってくる。


井上さんの私に対しての感情。


「え？」



「俺にしろよ、俺なら三田倉をそんなふうに絶対泣かせたりしない。」


そう言って井上さんはさっきよりもギュッと強く後ろから私を抱きしめた。



「…諦めようとしたけどムリだ。
今の三田倉をほっとけない。
…好きだ。」


「井上さん…」


「今度は報告じゃない、ちゃんと俺と付き合って欲しい。
三田倉の側にいたい」


井上さんは私が振ってもまだ好きでいてくれる。


私はその優しさに…甘えた。


私は回された腕に手をそっとおいた。
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