秘密の糸Season1㊦
撮影中、イライラと悲しさがこみ上げてきた。

パシャパシャ

「いいよー盟加ちゃん、笑って笑って」


…そっか。

あの人にとってはウチはただの担当モデルで

それ以上の感情はない。

分かってた事じゃん…。

円花と須藤清羅に叶うはずなんかないって…。

だから…あんなキスしたって…。

…須藤さんにはどうって事ないんだ。

…バカみたい。

ドキドキしてたのはウチだけなのに…。


「はい、盟加ちゃんお疲れー!」


「…ありがとうございました。」


スタジオを出ると、零士が声を掛けてきた。


「お疲れ〜盟加〜」


(最悪…)


「お疲れ様です、零士さん。」


ウチはすぐさま作り笑いをした。


正直今は誰とも話したくなかった。


特に零士には会いたくなかった。

(さっさと離れてくれねーかな…)


「なあ、お前最近仕事ミスったらしいじゃん」


「ああ…」

(うるせーな…)

その時、須藤さんがスタジオから出てきた。
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