秘密の糸Season1㊦
(須藤さん…!)

思わず目が合ってしまった。

「なあ、イライラしてるなら良いものあるから今日遊ばね?」

零士の放つ言葉一つ一つがウチを悪の道へ引きずり込む。


…いつもならここで断ってた。

だけど…今日は…


今思えば本当に馬鹿な事をしたと思う。


「良いですね〜!たまには行こっかな〜!」

ウチは須藤さんに聞こえるようにわざと大きな声で言った。

…こんなことしたって意味がないのは分かってる。

でも多分この時のウチは、やけくそ半分、本当は心のどこかで須藤さんが止めてくれる。

そう信じていたのかもしれない。

「じゃあ、行こうぜ〜車用意してくるわ。」

「はあーい!」

そして零士は戻って行った。

零士と別れたその時、手首を掴まれた。
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