秘密の糸Season1㊦

お弁当を食べていたその時、

ガチャ

扉が空いた。

見ると、谷口さんが弁当袋を持って立っていた。


思わず目が合った。


「…お疲れ様です。」

「お疲れ様ー！」

そして谷口さんは、空いていた近くの席に座った。

二人だけの空間が緊張した。

おかずをつまんでいたその時、

谷口さんが口を開いた。

「…円花ちゃん、仕事慣れた？」


「は、はい！」

(円花ちゃん！？普段は三田倉さんなのに…)


びっくりして思わず声が患ってしまった。


「…ふふ。」


その時、谷口さんはクスッと笑った。


(…笑ってもやっぱり美人だ…)


…やっぱり勝てっこない。


その時、谷口さんが口を開いた。


「そっかー。雪都と一緒だと大変でしょ？」

「え？い、いえ！そんな…井上さんには本当にお世話になってます！」

「……」

一瞬ただならぬ空気が流れた。


「あいつ、昔から女の子に不器用であたしの時からそうなのー。
それで女の子何人も泣かしてて…
昔は結構遊んでたんだよね
今はまともになったけど」


(あ、あれ？さっき間が空いたような…気のせい？)


「へ、へえー…そうなんですか。」


私の知らない雪都の過去…


何だろう…



複雑な気持ちだった。


「まあ、あたしと雪都は昔からずっと一緒にいるし幼なじみだから慣れてるけどね。」


「そうですね…」


それにさっきから、何だかチクチクと胸に針を刺されたみたいに痛い。


雪都と梨絵さんは昔から一緒にいたという過去がある。


二人にしかない歴史も…



そんなの分かっているのに…。



勝てっこないって分かってるのに…。



「あ、私そろそろ行きますね、お疲れ様です！」


その場にいたくない気がした。


出ていこうとした


矢先に

谷口さんが口を開いた。