秘密の糸Season1㊦
「円花ちゃん」


「は、はい!」


思わず声が震えた。


「これからもよろしくね」


そう言って梨絵さんは笑っていた。


「は、はい…」

だけどその時の私は、逆にその笑顔が怖いと思った。


「…お、お先に失礼します。」


そう言って私は部屋を出た。

そして午後から、仕事を再開した。


そして仕事を終え、定時になった。


「じゃあお先に失礼します。」

従業員の皆さんに挨拶をした後、私は着替えを済ませ、お店を出た。

お店を出ると、外で雪都が立っていた。


「お疲れ、円花」

私は雪都の元へ走った。

「雪都待っててくれたの!?ありがとう!」

雪都の顔を見た瞬間、私は一気に安心した。

「帰ろ。」

「…うん!」

そして私達は手を繋ぎ、ゆっくり歩いた。

歩いていたその時、雪都が口を開いた。

「…そういえば今日途中で梨絵と一緒に仕事しててさ。
その時、俺達の事話したよ。」

「え…」

「梨絵から何も聞いてない?昼休憩一緒だっただろ?」

「え?あ、ごめん…。その時、違う話してたから…」


「そっか…あいつ喜んでたよ。
おめでとうって言ってた」

そう言った雪都の顔は嬉しそうだった。

その姿を見た時、私はチクンと胸が痛くなった。

だって私といた時は

…正直、そんなふうに見えなかった。

どちらかと言うと、私を睨んでるような…。

さっきだって顔は笑っていたけど、目が笑っていない…

そんな気がしたから…。


「円花」

「え?」

「どうかした?」

「う、ううん!何でもないよ!」

「そ?」

「うん…。」

私は胸の中でモヤモヤを残したまま、再び歩いた。
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