秘密の糸Season1㊦
「お疲れ様です、須藤さん。」


「あ、武藤さんお疲れ様です。」


「あの、ジャケット有難うございました。」


ウチは持っていた紙袋を須藤さんに渡した。


「ああ…。わざわざ有難うございます。」

「いえ…。」

「……」

「……」

しばらく沈黙が続いた。

(…どうしよう。)

その時、須藤さんが口を開いた。

「…編集長から聞きました。
読モランキング1位だったんですね、おめでとうございます。」



「…ありがとうございます。」


「これからは専属モデルになるんですよね?」

「はい。」

「…そうですか。夢に一歩近づいたんですね。」


そう言った須藤さんは悲しそうな笑顔でウチを見た。

「…はい。…須藤さん」

「はい。」

「…この前は助けてくれて本当にありがとうございした。
ウチ、須藤さんが来てくれなかったらここまで来れなかったです…
本当にありがとうございました。」

須藤さんがいなかったらきっと、

ウチも花村さんと同じ目に遭っていたかもしれない。

「武藤さん…」

「ウチ、これからは頑張ります。
やっぱりこの仕事好きだし
応援してくれる、読者の為にも」

「…頑張って下さい!応援してます」

「須藤さんがウチの側にいてくれたおかげです!
ありがとうございました!」

「こちらこそ」

「それじゃあ、失礼します」

そしてウチは須藤さんと別れた。
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