一番そばに。
「…何見てんだよ」



私の頬に据えてあった手をパッと引っ込めて、大河が私を見る。


あぁ、やっぱり大河らしくない。


私は、よいしょっと言って身体を起こした。

真正面から大河の姿を捉える。

大河は必死に顔を逸らした。





私、なんか気に触ること言ったりした…?





ズキン、と胸が痛くなった。


でも、今何か聞いたら、また大河を怒らせちゃいそうで怖くて何も聞けない。


暫くしてから、大河の方から沈黙を破った。



「…腹減った」


「…へ?」



自分でも分かるくらい間抜けな返事だった。

大河はそう言うと急に立ち上がり、私の部屋から出ていった。


まぁ、こーゆー事も日常茶飯事なわけで。

私は動じない。

きっとリビングにお菓子を取りに行ったのだ。


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