一番そばに。
「まだ氷室くんの事が好きなの?」


「…う」



美咲からの視線が痛い。


わかってる。

好きになっても叶うはずのない相手だって事くらい。


だって、相手はーーー





「キャー!!!!」



いきなり廊下から女子たちの悲鳴ともとれるような鼓膜が破れそうなくらいの声が聞こえた。



「騒がし。何なの」



様子を見に行こうとする美咲。

そして、



「あ、氷室くん」


「ええっ!?」



美咲の冷たい視線の先には、女子たちに囲まれている氷室くんがいた。



「相変わらずモテモテだねぇ。…ねぇ、梓羽。…って、え?梓羽?」



美咲が振り返った頃には私はもう、氷室くんの取り巻きの中に突入していた。



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