一番そばに。
倒れた自転車の横に大河が立っていた。
物凄い剣幕で。
おぉ、と氷室くんは短く呟き、私から顔を背けた。
「フッた女に手ぇ出そうとしてんじゃねぇよ
、ナルシスト」
「……ナルシスト?」
大河の方を向いた氷室くんに、少し挑発的な笑みを浮かべて大河が声を掛ける。
氷室くんは、ナルシスト、という言葉に異常に反応したらしく、
「悪いがナルシストじゃない!」
胸を張って答えている。
…気にするところ、そこなんだぁ
私は少し呆れてしまったけど、不覚にも可愛いな、なんて思っちゃったりして…
そんな私を見てイライラMAXの大河は、ズカズカとこちらに歩み寄ってきた。
そして、
グイッ…
「……っ!!!」